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ニュースリリース

2020.11.18

コラム

【神保先生のメディカルコラム Vol.40】

快適な生活と健康の実現のために

神保太樹(株式会社CHIKEN 取締役)

「インフルエンザのワクチンについて

みなさま、だんだんと寒くなってきましたが如何お過ごしでしょうか?
これまでこの時期は「インフルエンザに注意をしよう」という時期として認識されていましたが、厚生労働省の発表によると、今年は昨年の同時期に比べ概ね130分の1の発生率となっているようです。なぜ減っているのかは様々な仮説がありますが、現在の新型コロナウイルス感染症流行に伴い、市民がマスクを常用していることが大きな要因であることは間違いないようです。「マスクが感染予防に役立つのか」ということには一定の議論がありますが、少なくとも飛沫を出すことを抑制し、他者に感染症を移してしまうリスクは大幅に軽減されるだろうことは確かそうです。

さて、マスク以外で思い浮かぶのはワクチンです。インフルエンザワクチンは、今年は過去五年間の中で最大量が供給される見通しです。しかし意外とワクチンがどのくらい有効で、どういう目的で実施されるのかを知らない方も多いと思います。また、近年インフルエンザワクチンが有害であるという話がちらほら噂されていますが、実際はどうなのでしょうか?

まず、ワクチンの目的ですがこれは2通り考えられます。一つは発症を予防するため、もう一つは発症した場合の重篤化を抑制するためです。通常の健常者では、概ね65~85%程度発症を抑えると考えられていますが、もっと重要なことは高齢者の重症化リスクを回避することです。ウィルス研究の第一人者である神谷らの報告では、65歳以上の高齢者の場合、持病が無い高齢者については発症を45%抑制し、約80%の重篤化を阻止したと報告されています。さらに他の報告では入院期間も短くしているようです。ですから、特にハイリスク者についてはインフルエンザワクチンを受ける価値は十分あると考えられています。大事なのはワクチンとはウイルスが体に入ることを抑制するものではないということです。体に入ったウイルスが増殖しにくいよう、あらかじめ免疫を高めておくことがワクチンの目的なのです。

〜次回もインフルエンザのワクチンについてお話させていただきます。お楽しみ〜