2020.07.15
コラム
【神保先生のメディカルコラム Vol.36 】
快適な生活と健康の実現のために
神保太樹(株式会社CHIKEN 取締役)
「フレイルと感覚障害の関係①」
みなさんはフレイルという言葉を耳にしたことはありますか?
最近よく使われるようになっているとはいえ、まだまだ認知度は低い言葉ですが、フレイルとは健常な状態から要介護状態へ移行する中間または、そのすこし手前の段階を指す言葉です。もともと英語では「Frailty」といいます。この訳語を決める際、日本老年医学会の提言から従来の訳語である「老衰」などの訳語は正しく介入すれば機能が回復し、元に戻ることがあるということから採用せず、カタカナで「フレイル」としています。
フレイルには複数の概念があり「精神的」「肉体的」「社会的」の三要素から決まってくるとされています。例えば認知症のような疾患は精神的要素として数えられますが、感覚器の衰えなどの加齢性の衰えの多くは肉体的な状態として数えられています。最近は、このフレイルの度合いを考えるときに従来の味覚障害や聴覚障害のみならず、嗅覚障害にも注目が集まるようになりました。最新の研究では、まったく嗅げない方の5 年後の死亡率が高くなることも報告されており、嗅覚をきちんと維持することがリスクファクターの回避につながると考えられています。また、嗅覚障害はアルツハイマー病やパーキンソン病の予兆とも指摘されていますから、自分の嗅覚の状態を知っておくことは大事なことなのかもしれません。
〜次回も花粉症対策のお話をさせていただきます。お楽しみに。〜