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ニュースリリース

2019.07.17

コラム

【神保先生のメディカルコラム Vol.24】

快適な生活と健康の実現のために

神保太樹(統合医療研究所 T-LAB 所長)

「紫外線について①」

みなさん今日は。今年は暑い日が続くと予測されていますが、如何お過ごしでしょうか。
今回は紫外線が何故身体に悪いと言われるのか、というお話をいたします。
身体に悪いと言われる、と言いましたが、実は紫外線は身体に悪いことだけではありません。ビタミンDの合成や、新陳代謝や血行を促進する作用もありますし、波長によっては有益に使うことが可能です。また中波長から長波長の紫外線には、免疫力や細胞増殖能を抑える作用があることから、アトピー性皮膚炎などに対する保険適応があります。また紫外線をまったく浴びないことにもリスクがあり、日照時間の短い地域では大腸癌、乳癌、卵巣癌といったがんに対してハイリスクとなることが知られています。
このように、有益な側面も多々ある紫外線ですが、なぜ日焼け止めを使った方がいいとされるのでしょうか。一番大きな理由は、過度な紫外線によって皮膚や眼球の細胞が障害されるからです。このうち特に危険なのは波長が短いB波またはC波と呼ばれる紫外線であり、DNAによく吸収される250nm波長に近いほど危険と考えられています。我が国の調査では、波長の差までが検討されているわけではないものの、沖縄県と兵庫県との比較研究では、日光角化症と呼ばれる皮膚の浅い癌の発症率が、沖縄のほうが4.4倍も大きいことが報告されています。
また、紫外線が嫌われるもう一つの理由として、色素沈着やシミを誘発するなどの見た目上の理由ですが、これは紫外線に対する防御反応としてメラニン色素が産生される結果として起こります。さらにあまり知られては居ませんが、A波と呼ばれる長波長紫外線のほうが美醜の面では有害な可能性もあります。長波長紫外線は皮膚の弾性線維を不可逆的に破壊することが知られており、ドライバーを業務とする人の中で、紫外線対策の施されていないガラスを用いた車に乗っている人は車の外に面した皮膚(日本であれば通常右側です。)がより弛んでしまうことが知られています。

次回の更新をお楽しみに☆