2018.02.22
コラム
【神保太樹先生の #はからめコラム Vol.12】
嗅覚と記憶の深いつながりについて
神保太樹(統合医療研究所 T-LAB 所長)
「記憶を司る『海馬』と嗅覚を司る嗅神経のつながりについて④」
皆さんが海馬の機能を思い浮かべる時、第一に思い浮かべるのは記憶を形作り、保存する為の場所であるということだと思います。
過去の研究からは、海馬を摘出されると知能指数等にはまったく問題がないのに、その後の記憶を作ることができなくなってしまう、ということが明らかになっています。
しかしもう一つ重要な報告があり、サルの実験で、海馬を含む側頭葉内側部を壊すと、感覚器には影響がないのに、見える物の意味が理解できなくなるという現象が起こると報告されているのです。
嗅覚の検査も、基本的にはその匂いがなんであるかを択一式に答えて貰うものですので、においを感じ取る神経機能が弱くなっている場合に加えて、「その匂いが何であるか」が分からないということによっても、検査の成績が悪くなっている可能性があります。
このように、単純に嗅覚に関わる神経が傷害されるからだけでなく、海馬などの高次機能に関わる脳が壊れることによっても嗅覚障害が悪化しているとも考えられます。
一方、物忘れなどが起こってくる前に嗅覚障害が引き起こされることがあることも報告されていますので、海馬と嗅覚障害の関係は、今後の研究がさらに必要であると言えそうです。
来月からは【神保先生のメディカルコラム】として生まれ変わります!
次回更新をお楽しみに(^_-)-☆
#はからめ #認知症 #アロマセラピー #アルツハイマー #匂い #嗅覚 #海馬